後編:こんなときはどうする?アロマと漢方の取り入れ方

• A BETTER WAY

2026.01.26

VOL.04 後編

こんなときはどうする? 
アロマと漢方の取り入れ方

text: SHIORI FUJII

病気になる前の段階で、体調を整えるために、アロマや漢方を取り入れる人が増えています。
今回も前編に続いて、アロマセラピストの加藤広美さんと漢方薬局を営む杉本格朗さんに、20 代・30 代・
40 代の女性の悩みについてアドバイスをうかがいました。きっと取り入れたくなるヒントが見つかるはず。
「デスクワークが多く、かすみ目などの眼精疲労と、目の上のほうが重くなるような頭痛があります。たまに足が痛いほどむくんで、夜に眠れないときも。また、常になんとなくテンションが低く、プライベートにおいても気分が上がりません。今、抱えている仕事をこなすことに必死で、とにかく疲れているのかも。忙しくて、夕飯はカップラーメンだけ、ということもよくあります。
生理が始まると、家族のささいな行動にもイライラしてしまいます。もともと風邪をひきやすく、急に声が出なくなったり、微熱が続いたりすることもよくあり、食当たりにもなりがち」
加藤
「生理中にイライラしてしまう、PMSの症状は生理を迎えるまでの生活によっても程度が変わります。前提として、食生活と睡眠を大切にしたいですね。ひとまず、手軽な青汁を飲むだけでもいいので。
そのうえで香りを使うとしたら、ホルモンや自律神経のバランスを意識して、ゼラニウムの精油を提案します。人間で例えると呼吸や循環を司どると言われている葉から抽出した精油なので、肺を開いて深い呼吸へと意識を向けるのを助け、心の安定にもつながります。
『仕事を頑張りたいけど、眠りづらくなって困っている』という、エネルギーに体がついていかない状態には、あれこれ考えすぎずに力を抜けるような感覚をもたらすナツメグをブレンドしても。
前向きな気分に寄り添ってくれるメイチャン(アジアの柑橘)のきらっとした香りと、気を張り詰めすぎないように働きかけるイランイランの穏やかな鎮静作用も加えて」
杉本
「気が足りていない“気虚”と、気が滞っている“気滞”と、血が足りていない”血虚”がありそうですね。生理の始まりが特に辛いということなので、血の巡りが悪い”瘀血“でもあるかな。脈を見ると、肺が弱い感じもします。そのせいで風邪をひきやすく、肌が荒れやすいんでしょう。
改善するには、気と血を補って巡らせる必要があります。気と血のバランスがよくなれば、生理の時期の不調も、目の疲れも改善するはず。特に肺の気を補うことで、慢性的な疲れがなくなり、免疫力アップにつながります。
おすすめは、加味帰脾湯(かみきひとう)。気と血を補って、クールダウンする効果があります。疲れや精神不安定、不眠に効くと思います。
または環元清血飲(かんげんせいけつえん)で、血や気の巡りを良くすれば、肩こりや目の疲れ、婦人科系の悩みもラクになるはず。頭痛も出なくなるかも。
同時に五苓散(ごれいさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、もしくは、桂枝茯苓丸薏苡仁(けいしぶくりょうがんよくいにん)で水分代謝に働きかけるのもいいかもしれません。
忙しさのあまり、食生活が疎かになっているので、なるべくお米と納豆、野菜をとるよう、意識してみてください。時間がなくても、カップ麺よりはおにぎりとお味噌汁がいいかな」

「寝不足の日や、集中しているとき、天気が悪い日に、頭痛が起こりやすいのが悩み。ズキズキするような痛みです。
疲れがたまったときや生理前は、気持ちの浮き沈みが激しくなります。前向きになれず、イライラしたり、悲しい気分になったり。
イレギュラーな仕事があるときや、不安があるときは、体が疲れていても眠れないことがあります」
加藤
「緊張や不安でなかなか寝付けないのは、心配ごとで頭が冴えて覚醒している状態ではないでしょうか。特に真面目な人ほど、思考が止まらなくなりがち。心と体をグラウンディングさせるために、サンダルウッドやベチバーなど、樹木や根などからの安定感のある香りを提案します。『生理前にこうなりやすい』と自覚している“予期不安”も影響しているかもしれません。そんなときは、『これを嗅ぐと眠くなりやすい』というスイッチになるような香りをあらかじめ用意しておくのもひとつの方法です。
人によって相性はありますが、婦人科系の不調緩和にアプローチしたいときは、温めて心身を和らげる働きのマジョラムもいいですね」
杉本
「漢方では、病気の原因が外からの影響なのか、体内にあるのかを考えます。雨などで湿気が多いときに頭痛や目眩、吐き気などが起きやすい方は、むくみやすいなど、体に湿気が多い可能性があり、湿気を外に出す薬を処方します。
また、お話しをうかがうと、とても真面目で頑張り屋さん。湿気のほかに、疲れた時や交感神経が優位な時が続くと症状が出やすいようです。となると、水分代謝を良くする五苓散に加味帰脾湯を加えて服用するといいかもしれません。生理前の気持ちの揺らぎには加味逍遥散(かみしょうようさん)も良いと思います」
「昔から冷え性で、腹巻きをするとか寝る前に入浴するとかの対策をしていますが、血圧が低いこともあって、朝はなかなか温まりません。手足だけでなく、腹部が冷えやすく、忙しいときや生理後などにお腹が張って、便秘にもなりやすい。最近はPMSの症状も出てきて、生理前は気分が沈みがち。これから更年期を迎える時期だと思うと不安が募ります。
また、海外を旅することが多いのですが、若い頃より時差ボケがきつくなっている気が。睡眠が安定しない時期が2週間ほど続いてしまいます」
加藤
「手足やお腹など、特に下半身に冷えを感じながらも、考えすぎて頭に血がのぼっている不調和ですね。気を下ろしてクールダウンしつつ、内側から温めて力を感じられるジンジャーの精油を選びました。お腹の張りには、疲れた胃腸をいたわり、元気を補充するようなスイートオレンジの精油をブレンド。
さらに巡りをうながすイメージでスプルースと、頭の中の風通しをよくするようなホワイトサイプレスを。どちらも澄んだ香りの針葉樹の精油です。日々のルーティンに心地よいリズムを取り戻していけますように」
杉本
「脈が弱く、“気虚”がありますね。体を温めて気と血を補い、また気を巡らせてながら、頭はクールダウンさせてあげたい。
おなかが張っているのは、気が溜まっているということ。大声を出して気を抜いてあげるのも効果的。運動やカラオケでもいい。
処方するならば、 加味逍遥散(かみしょうようさん)と十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)ですね。 加味逍遥散の"逍遥"とは、のびのびぶらぶらすることを言い、気持ちを緩めながら、頭をクールダウンします。十全大補湯は、全身の気と血を大いに補うという処方名になっていて、慢性的な疲労や貧血、冷え性、食欲不振などに効く漢方薬です」
漢方杉本薬局代表/漢方家
杉本格朗
1982年生まれ。1950年創業の漢方杉本薬局代表。漢方家。大学では染色や現代美術を学び、2008年に実家の漢方杉本薬局に入社。2021年に神宮前のGYRE4Fにあるeatrip soil内に出張相談所「杉本漢方堂 Soil」を設立。日頃の体調不良から、慢性疾患、難治性疾患まで幅広く相談を受ける。また、漢方の長い伝統と奥深さに触れ、生薬の薬効、色、香りの研究や、漢方の視点から世界の文化を考察し、暮らしを豊かにする活動をライフワークとしている。「漢方を文化に」と「手しごとの医療」を理念に、坂本龍一氏主宰のイベント「健康音楽」、逗子海岸映画祭、JAPAN HOUSE、The Japan Foundationなど、講演、ワークショップ、インスタレーションなど、国内外で幅広く活動している。
漢方監修:G20大阪サミット「配偶者プログラム」、温泉宿「SOKI ATAMI」 など
著書:「鎌倉・大船の老舗薬局が教える こころ漢方」(山と溪谷社)

HP : https://sugimoto-ph.com/
Instagram : @sugimoto.ph @sugimoto.ph_soil
セラピスト
加藤広美
「THENN AROMATHERAPY」主宰。アタッシェ・ドゥ・プレスを経て、家族の闘病をきっかけに補完療法を志し、2019年に英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)のディプロマを取得。精油を用いた健康の維持、促進に特化した国内では数少ないPEOT(プロフェッショナルエッセンシャルオイルセラピー)セラピストとして、対面でのパーソナルブレンディングを中心に、ワークショップ開催や企業プロダクトの香りの監修、香りによる空間演出などを行う。

HP : thenn.tokyo
Instagram : @___thenn

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